イタリア製本工房の日々

「イタリア、リミニの工房で一冊、一冊、それぞれの本の個性を探りながら製本中」でした。そして2012年からは新たな場所で活動予定。

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工芸製本または製本工芸 rilegatura

以前にも書いたが、製本と言っても様々である。
こちらイタリアでも製本の仕事はわかるが、修復家と製本家の区別がつかない人が多い。
そして、この工芸製本については知らない人がほとんどだ。
さて、工芸製本と一般の製本の違いが書かれたものはないかとネットで検索すると・・ありました。

ご自宅で一日製本教室を開き、豆本作家であり、校正者であり、とにかく本をとりまくありとあらゆることに精通し、珍しい道具類をも自宅に所蔵する田中栞さんが書かれたものを見つけた。
日本出版学界会報124号(2009年4月)に掲載されたものである。

『出版社製本と伝統工芸製本』 田中栞
 今,新刊書店に並ぶ本は,ほとんどが製本所の大型機械で製本している。ヨーロッパで古来行われてきた伝工芸製本も,書店の店頭の上製本も,外見はどちらも,本文よりやや大きめの表紙がついたハードカバー本であることには変わりがない。
 ところが,その実際の製本構造は大きく違っている。伝統工芸製本にも色々なやり方はあるが,大きな違いは,「綴じ」と「表紙づくり」の方法だろう。
 昭和40年代頃までは,出版社が出している本も糸かがりのものが多かったが,現代の大量生産本は,本文用紙をまとめるのに糸を使わず,接着剤だけでくっつける無線綴じがほとんどだ。昨今の接着剤は性能が高いとはいえ,構造上,接着成分が劣化すれば本の解体は免れず,折の背を断裁してある無線綴じはバラバラに離れて,書物であることをやめるしかない。
 長持ちさせたい本は,折丁を糸でかがる糸綴じであるべきである。
 伝統工芸製本(ルリユール)では,各折の背に糸を通し,全部の折をつなげていく。綴じ糸が切れなければ本はしっかりとその姿を保ち読者にテクストを提供し続ける。たとえ綴じ糸が切れても,背貼りを外してかがり直せば,元の姿に戻る。
 もう一つの大きな違いが表紙の構造だ。版元製本のハードカバー本の場合,ひらに硬い板ボールの芯紙を入れて,オモテ表紙背ウラ表紙がつながった表紙を作り,ひとまとまりになった本文ブロックの外側に接着合体させる。本の中身をくるみ込むようにつけるので,くるみ表紙という。機械製本だと,表紙と中身の接着は,のど付近3ミリ幅程度の糊付けだけなので,表紙の開閉がたび重なると,見返しの内側が剥がれて表紙と中身が泣き別れになる。
 伝統工芸製本では,本文紙のかがりの際,糸を渡して全折をジョイントさせる役割を果たす支持体を,表紙の板紙に穴を開けて綴じ込む。中身と表紙がしっかり合体しているので,これもまず離れることがない。
 本来の書物の構造は,こういうものだったのである。
 ~ 中略 ~
 出版社に務めていても,伝統工芸の製本が一体どうやってなされるのか,知っている人の方が少ないのが現状だろう。
~ 中略 ~
 出版界に身を置き,または研究成果を出版したり,書物に親しんだりする我々は,書物の作りにも精通している必要がある。自らが携わる出版物の製本構造に思いを馳せるとともに,こうした書物によって,伝統的な製本構造について知っておくのは大変意義深いことだと言えるだろう。


Immagine 198
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[ 2011/05/25 11:57 ] 製本の世界 | TB(0) | CM(1)
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[ 2011/05/27 10:33 ] [ 編集 ]
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